【名盤紹介】『Anthems To The Welkin At Dusk / Emperor』クラシカルなプログレッシブさと禍々しさが高次元で交錯する傑作

【名盤紹介】『Anthems To The Welkin At Dusk / Emperor』クラシカルなプログレッシブさと禍々しさが高次元で交錯する傑作

Anthems To The Welkin At Dusk / Emperor
Anthems To The Welkin At Dusk
邦題:闇の讃美歌
アーティスト:Emperor

ジャンル:ブラックメタル
1997年

【収録曲】

  1. Alsvartr (The Oath)
  2. Ye Entrancemperium
  3. Thus Spake the Nightspirit
  4. Ensorcelled by Khaos
  5. The Loss and Curse of Reverence
  6. The Acclamation of Bonds
  7. With Strength I Burn
  8. The Wanderer

ノルウェー出身のブラックメタル・バンド、エンペラーの2ndアルバム。

エンペラーは、悪名高い「ブラックメタル・インナーサークル」出身のバンドの一つとして有名です。

ブラックメタル・インナーサークルとは

ブラックメタル・インナーサークル (Black Metal Inner Circle) または ブラック・サークル(Black Circle)とは、1990年代初期のノルウェーのブラック・メタルバンドとその関係者らを指して使われた言葉である。「誰が一番邪悪か」を競うかのように、教会の放火から殺人に至るまで様々な事件を起こしてヨーロッパ中を震撼させ、後のブラック・メタル・シーンにも多大な影響を与えている。

メンバーの相次ぐ逮捕、懲役刑の影響からイーサーン(ヴォーカル/ギター)が唯一のメンバーとなってしまい、1994年の1stアルバム「In the Nightside Eclipse」発表以後しばらくは活動の休止を余儀なくさせられていましたエンペラー。出所したサモス(ギター)と、元エンスレイヴドのタリムをドラムに、アルヴァをベースに迎え活動を再開したことで、1997年にようやくリリースされたのが本作です。

前作とは対照的に、キーボードの使用量を減らし、よりクリーンな歌唱とブラストビートスタイルのドラムワークを用いて、より速く、よりギター主導となったパフォーマンスが特徴。加えて、クラシックからの影響も見られ、よりプログレッシブさを強めたこの作品は世界中から高い評価を受けました。

2017年のローリングストーン誌による「史上最も偉大なメタルアルバム100枚」のリストで57位にランクイン。 2018年、アメリカのオンライン・メディア・マガジンのLOUDWIREは本作を史上最高のブラックメタルアルバムに挙げ、 2020年には世界的に有名なハードロック/ヘヴィメタル雑誌のMETAL HAMMERで、1997年のトップ10アルバムのリストに本作が選ばれるなどしています。

1stよりも整合性があり聴き易くなってはいつつも、その凄まじい禍々しさは健在。荘厳で美しいメロディ、暴虐性と邪悪さ、ドラマチックな構成力など様々な点で高次元かつバランスが取れている本作は、まさにブラックメタル史における最高峰の名盤。是非とも体感してください。


おすすめ曲

(2)Ye Entrancemperium
(5)The Loss and Curse of Reverence
(7)With Strength I Burn

投稿者:

手羽先

名古屋在住。 ロック、メタル好きで、特に80'sスラッシュメタルに目がないです。

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