【名盤紹介】Gods Of Violence / Kreator

Gods Of Violence
アーティスト:Kreator
ジャンル:スラッシュメタル
2017年
【収録曲】
- Apocalypticon
- World War Now
- Satan Is Real
- Totalitarian Terror
- Gods Of Violence
- Army Of Storms
- Hail To The Hordes
- Lion With Eagle Wings
- Fallen Brother
- Side By Side
- Death Becomes My Light
- Earth Under The Sword
ジャーマンスラッシュの代表格、クリエイターの14thアルバム。現時点(2021年5月)での最新アルバムですが、超大御所ベテランバンドがやってくれた!と言いたい本当に最高のアルバムです。
初期の頃はとにかく直球、猪突猛進のスラッシュメタルと言った感じだった彼らですが、90年代にスラッシュメタルが下火だった頃はインダストリアルやゴシックメタルに傾倒し、スローテンポかつグルーヴィな曲調へと変わっていきました。そして2001年の10thアルバム「Violent Revolution」において再びスラッシュメタル路線に回帰したわけですが、それ以降の彼らは単にスラッシュメタルへ帰ってきたというだけではなく、いわゆる迷走期と言われる期間に吸収した新たな要素をしっかり自分たちの作品に落とし込み、彼らなりにアップデートしたスラッシュメタルというものを見せてくれていると感じます。
それまでの攻撃的な姿勢は保ちつつもドラマチックな曲構成や世界観の広がりを見せた11th「Enemy Of God」。さらに哀愁漂う情緒的なメロディに磨きをかけ、メロデスファンにもおすすめしたい傑作13th「Phantom Antichrist」と進化を続けてきた彼らですが、さらにもう一段高みへ上ったと言えるのが本作「Gods Of Violence」です。
行進曲の様な勇猛さを湛えたインスト曲(1)「Apocalypticon」で期待は高まり、(2)「World War Now」でいきなり爆発です。問答無用の超絶スラッシュナンバーですが曲展開が巧みで、ブレイクパートでエネルギーを溜めてからの爆発的なギターソロ、そして畳みかけるような怒涛の展開には脱帽です。
(3)「Satan Is Real」はまさにこのアルバムの強みを凝縮したような曲で、ミドルテンポで力強いビートでずんずんと突き進んでいく楽曲。前作までで完成度や芸術性という面では最高点まで極めたと言える彼らが本作に於いてアップデートしたものが何かといえば、ある種男臭さを感じるようなこの力強さではないでしょうか。
(5)「Gods Of Violence」はタイトル曲であり、現時点のクリエイターというバンドの魅力を最大限に凝縮した傑作ではないでしょうか。アコースティックギターの情緒的的なイントロに始まり、疾走感と力強さを湛えた音の嵐、ドラマティックな曲構成。「We shall kill!」と叫ぶパートでは思わず自分も拳を突き上げ、叫んでしまうような一体感。新たな彼らのアンセムとして浸透してもいいような名曲です。
スラッシュメタル黎明期から活躍する大ベテランバンドの打ち出した大名盤足りうる傑作。ドラマティックで芸術的にまとめながらも男臭さ、力強さを兼ね備えており、血が滾るような高揚感を併せ持つこの作品を、是非とも味わってみて下さい。
YouTubeで聴く↓ (3)Satan Is Real (4)Totalitarian Terror