【名盤紹介】Dystopia / Megadeth
Dystopia
アーティスト:Megadeth
ジャンル:スラッシュメタル
2016年
【収録曲】
- The Threat Is Real
- Dystopia
- Fatal Illusion
- Death From Within
- Bullet To The Brain
- Post American World
- Poisonous Shadows
- Conquer Or Die
- Lying In State
- The Emperor
- Foreign Policy
- Me Hate You
2016年リリース、世界的ヘヴィメタルバンド、メガデスの15thアルバム。ギターにANGRAのキコ・ルーレイロ、ドラムにはLAMB OF GODのクリス・アドラーを迎えての制作です。
1985年のデビュー以降、音楽的試行錯誤も挟みながらコンスタントに名盤を輩出し続けてきたメガデス。その過程で多くの経験と学びにより、絶えず進化し続けてきた彼らの15作目である本作は、緊張感あふれるキレッキレのギターリフとスリリングで複雑な曲展開で畳みかける傑作です。初期の頃に纏っていた緊迫感を取り戻し、さらにベテランの持つ深みと説得力を加えた楽曲陣は、まさしく現代版にアップデートされた強力な”インテレクチュアル・スラッシュメタル”です。
まず冒頭3曲の畳みかけが凄まじく、アラビア風のエキゾチックな女声コーラスから始まり、冷徹で攻撃的なギターリフで攻め立てる(1)「The Threat Is Real」。ムステインのアグレッシブなソロとキコの流麗なソロの対比が映えるギターバトルも最高に滾ります。
タイトル曲の(2)「Dystopia」は哀愁を感じるキャッチーさとスリリングな緊張感が絶妙にマッチした名曲。現代版「Hangar 18」といった感じで、”メガデスらしさ”全開です。
そして、緊張感を持ったヘヴィなグルーヴが気持ちいい(3)「Fatal Illusion」。インテレクチュアル全開で目まぐるしく変わる曲展開、ヒリヒリとした緊張感を纏い攻撃的に攻め立てる様は80年代メガデスを彷彿とさせます。
後半のハイライトとしては、エモーショナルに心に染み渡るヘヴィ・バラード、(7)「Poisonous Shadows」でしょうか。キコの作曲力が冴えわたり、ムステインの渋い声と相まって美しくも哀しい、そんな楽曲です。インスト曲(8)「Conquer Or Die」から(9)「Lying In State」への爆発力のある流れも痺れます。
長いキャリアの中で模索しつつも、80年代に彼らが持っていた緊張感を取り戻し、ベテランの円熟味も加えアップデートされた力作。スリリングな展開と攻撃性、そしてキャッチーさを絶妙にマッチさせ、極上のプレイスキルと熱量によって吐き出された紛れもない名盤です。
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